列車に揺られ、
いくつもの街を、越えてゆく
若き建築家が、旅を通して見た景色
中世から続く街並み、海や砂漠、
草原とともに暮らす人々…
人々が幾世紀と生きてきた軌跡には
「余白」のない現代とは異なる、
時間の流れがあった
酒場で古びたギターを手にとる、
すると、時々…
「私の歌に合わせて弾いて?」
と、声をかけられる
それは言葉の壁を越えた疎通、
例えるならバザールの喧騒の中で、
一筋の明かりに導かれるような邂逅
交わっては別々の道を往く、
その繰り返しの日々は心地よく、でも
旅の終焉はいつも、少し寂しくもあった
今宵は、そんな旅路で出会った
アーティストたちと、再び音と音を交わす
一夜限りの夜会